私がみんなの前でセクシャルマイノリティ/LGBTについて語るなら、こんな話をします。
「私はLGBT当事者です。
LGBTとはレズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーなどのセクシャルマイノリティをさす言葉です。
LGBTに初めて会ったよ、という人?
本当にそうですか?
ある調査によるとLGBTは全体の7.6%、20人のクラスなら1人か2人はいることになります。
今までの人生で何クラス経験してきましたか?人生で何人の人に会ってきましたか?
人生でLGBTに会ったことがないということはまずあり得ないのです。
自分の周りにはいなかったって?だれもそんなこと言ってなかったって?
私も言ってませんでした。
今でもほとんどの知り合いには言っていません。
言わないからいない、ということではないんです。」
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「私のセクシャリティはレズビアン/バイセクシャルです。今まで好きになった相手はたまに男性もいましたがほとんどが女性でした。
女性が好き、というと「男になりたいの?」と言う人がいます。いいえ、違います。私は女性として女性が好きなのです。
性を語るとき、3つの指標で分類する方法があります。
①産まれたときの性:男性として産まれる。女性として産まれる。その両方の要素をもって産まれる(インターセックス)など
②自認の性:自分を男と思う、女と思う。はたまたそのどちらも違うと思う(Xジェンダー)、そのどちらでもあると思う、など
③好きになる相手の性:男、女、その両方(バイセクシャル)、男女を含めすべての性(パンセクシャル)、そのいずれも好きにならない(アセクシャル)、など
この3つを組み合わせて自分の性について表現します。
私の場合は①女性として産まれ②自認の性は女性で③好きになる相手は女性、たまに男性、です。
ここで注意して欲しいことは、3つの分類の組み合わせに制限はないということです。①がAなら②はB、①がCなら③はD、などという決まりはないのです。
例えば、 ①男性として産まれて、②自認の性は女性で、③好きになる相手は男性 とか、 ①女性として産まれて、②自分の性は男でも女でもない(Xジェンダー)と思っていて、③好きになる相手はすべての性(パンセクシャル) とか、どんな組み合わせもあり得るのです。
ですから、③好きになる相手が女性なら、②自認の性が必ず男性というわけではないのです。 レズビアンに「男になりたいの?」と聞くのは的外れですよ?
そして、もう一つ誤解されやすい点は、 同性愛者とは自認の性と好きになる相手の性が同じ人のことを指すということです。 逆に、男性として産まれて自認の性は女性で、恋愛対象が男性という人は異性愛者です。彼女らをゲイと呼ぶのはやめましょう。」
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「LGBTの権利を認めない、という人がいます。
自然に反する存在だ、とか、 生殖に関わらない関係に権利を与える必要はない、とか 自ら望んでそうしているのだから、とかいう理由です。
・地球上の1,500種以上の動物で同性愛行動は観察されています。同性愛が自然に反すると言えますか?ちなみにホモフォビア(同性愛嫌悪)を示す動物は一種類だけです。どちらが自然に反しているのでしょう。
・生殖能力を持たない高齢者、不妊のカップル、子供を持たないと決めたカップルには権利を与えないのですか?
・LGBTであることは先天的なものです。本人の意思ではありません。
この反論は私が考えたものではありませんが、いずれも論理的な反論だと思います。
ですが、私がLGBTの権利を認めるべきだと思うただ一つの理由は、「同じ人間だから」です。
同じ人間として、差別されず、安全に、安心して、愛する人と暮らしたい。それだけのことなのです。LGBTは特権を求めているわけではありません。LGBT以外の人ならフツウに保証されている権利を求めているのです。 「LGBTの権利」とは「人権」なのです。」
つづく